日本って本当に災害の多い国です。
地震の原因は『プレートの歪み』だと言われていますが、日本は4つのプレート(ユーラシアプレート、北アメリカプレート、太平洋プレート、フィリピンプレート)の端っこにあるので地震が頻発しますし、日本は島国なので津波や台風にも晒されます。また、火山も多く、あの富士山さえも噴火の危険があるそうですね。
そんな災害の多い日本ですが、それでもその土地に住んでいる以上は生活をしていなかければいけません。もちろん仕事もしなければいけません。
そこで『BCP』って聞いたことありますか?最近注目のキーワードなんです。
そもそもBCPとは?
BCPはBussiness Continuity Planの略で、事業継続計画という意味です。
自然災害やテロなどの緊急事態が発生した時、いつか来る緊急事態用にマニュアルや手順を整備しておき、例え一時的に事業が停止したとしても可能な限り短期間で業務を再開させ、顧客が別の取引先に移ったり、他社に業界シェアを取られることがないようにする『経営戦略』です。
有事の際にただ設備を確認して人を集めて営業を再開させるだけでは、回復までの期間に先に営業を再開した企業にお客さんを取られてしまったり、または仕入れ先が限られた製造量を競合他社に回してしまっていたりと、今までの取引が一旦リセットされ、物と客の争奪戦になるんですね。BCPはまさに企業にとっての生存戦略ですね。
中小企業庁|BCP(事業継続計画)とは
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html
リスクマネジメントの考え方で、現在行っている業務のうち、全てを継続できなくなった場合、最も優先すべき業務・サービスは何か?を有事の際ではなく、普段の業務を行っている時から考えて、計画を立てておくのです。
最も優先すべきというのも様々な理由があると思います。
- 利益の中核をなしている
- このサービスがあるから顧客を確保出来ている
等
BCPの前身 DRとは?
元々、BCPの前身としてDR(Disaster Recovery:災害復旧)という物がありました。
これはコンピュータが災害やテロ等により、コンピュータが故障・停止した際に、復旧または停止しないように備えたシステムや体制のことです。
しかし、これは機械やデータを守ることは出来ても、災害により人員が確保できなくなる、資材や材料が仕入れられなくなる等、人や物流問題は解決しません。
そこでコンピュータだけではなく、事業全体の非常事態に向けた対策プランとして、BCPが生まれました。
BCPが日本で広まったきっかけ
このBCPが日本で意識されるようになったきっかけが2001年9月アメリカで発生した同時多発テロの時です。
世界貿易センタービルに旅客機が衝突したのは、皆さんご存じですか?(知らない人はWikipedia参照)
この時、BCPを活用したのは世界貿易センタービル周辺の中小企業です。
世界貿易センタービルに入っていた企業はもちろんそれどころではありませんが、直接攻撃を受けていない周辺企業も周辺一帯が閉鎖されるなど、これまで経験したことのない緊急事態に事業活動の継続機器を迎えました。
そんな時、BCPに従って、予め準備していたバックアップオフィスに機能を移すことで、最小限の業務中断で事業を継続することができました。
日本でもあの事件以来、テロ対策の意識が向上し、企業も有事への備えの重要性を実感しました。
BCPって具体的になにするの?
中小企業庁のホームページでは実際にBCPに取り組みたい企業向けにコース別に紹介しています。
- 基本コース
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_a/bcpgl_03a.html - 中級コース
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_b/bcpgl_03b.html - 上級コース
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_03c.html
また、これらはプラン(計画)であり、実際の災害ではプラン通りにいかないことも出てきます。
BCPに関連した認証規格として『ISO 22301(事業継続)』があります。
ISO 22301によると、以下の3つの要求項があります。
- 事業の中断・阻害を引き起こす事象への組織的な対応策の構築および運用
- BCMSのパフォーマンスおよび有効性の監視・レビュー
- 継続的改善
これは「計画を作るだけではダメですよ。ちゃんと計画を実行できることを確認・検証し、それを継続してくださいね。」ということえを言われています。
BCPに従って計画が実際に機能するのか定期的に検証し、物の流れや人の動きを管理しておくことが『BCM(Bussiness Continuity Management:事業継続マネジメント)』と言います。
BCPって上記説明でも語られている通り、経営戦略なので当ブログの趣旨(新社会人向け)と異なると思われるかもしれませんが、例え発言を許される環境になかったとしても、こういった手段を知っておくことが重要なのです。
また今は新入社員でも、ずっと新入社員ではありませんから、いずれは管理職や経営者になるかもしれません。その時、こういった知識が生かされるのです。
じゃあな!